今後の住宅リフォームについて

今後の住宅リフォームについて

 

住まい(家)は人の手によって造られたものです。ですから建物がどのような状況にあっても人の手によってリフォームすれば必ず直すことが出来ると言えます。

リフォームすることで住まいをまったく新しいものに変えることも、また住み慣れた住まいをより住みやすい住まいにすることもリフォームを行うことで可能となります。

◆日本のリフォーム事情
日本は住宅投資に占めるリフォームの割合が欧米諸国と比較して少ないという事もあり、国としても中古住宅の流通市場、リフォーム市場等の環境整備を行い、住まいのリフォームをすることで家を長持ちさせ住み替えで循環させていこうという方針を示しています。

住宅の着工戸数は1990年代を境に右肩下がりに減少しており、これからも増えるということは予想しにくく、現状は1990年代の半分以下とも言われています。

もちろんこれは経済の環境が大きく影響しているとも考えられますが、住宅事態の考え方、新築を建てる必要性、中古物件の品質の向上なども関係しており、今後日本の住宅業界は大きく変わっていくと予想されています。

日本の住宅はこれまで消耗品という考え方で扱われていました。
高額な新築物件が「消耗品」ではないと思うかもしれませんが、政府が推し進めていた政策を背景に日本の住宅は、いままでは建てては壊すということの繰り返しだったと言えます。

それは新築の補助金など助成制度を手厚くして循環を早くしてしまうという動きでした。
そもそも住宅の寿命は日本では約30年と考えられており、欧米諸国のそれに比べると極端に年数が低いのが事実です。
ただしこれは住宅の耐久年数が欧米諸国と比べて低いという事ではなく、日本では住宅の資産価値が30年を越えるとほぼ無くなってしまうということです。

またマイホームを建てることが一人前とされてきた日本の風習もあり、親子二代・三代にわたって住宅をリフォームし住みつづけるという考えかたは非常に少なく稀であったと言えます。

欧米諸国では家をリフォームをして、親子で家を引き継ぎ長く住み続けることが前提で建てられており、それが一般的です。
また家族の人数やライフスタイルが変われば新築を建てるのではなく現状のライフスタイルに合わせてリフォームをしたり、今住んでいる家を売却し現状のライフスタイルにマッチした中古住宅に移り住むという考え方です。
この考え方は価値のあるものを長く使おうという非常にエコな考え方です。

◆今後のリフォームへの考え方
10年ほど前から日本でもこの考え方に移行していっており、長期優良住宅の優遇、補助金などの拡充もされています。
消費型の住宅から循環型の住宅へと移り変わりメンテナンスをしっかりとした継続維持である住まい、つまりストック型の住まいが、これからの日本の住宅事情になるのではないかということが予想されます。

また新築を建てる必要性ですが、消費型で次々と新築住宅を建ててきたため日本ではすでに家が余剰状態にあります。
現時点で日本全国で約800万戸の空き家を抱えている状態であり、新たに新築を建てる必要性がないと言えるのではないでしょうか。
このように空き家が増えてしまうと人が住んでいない、メンテナンスがされていない状態で家が放置されてしまうことで、ますます老朽化が進み景観を損ねたり防犯、火災の危険性などが心配されます。

そこで政府は空き家を利用して、もう一度人に住んでもらうことで、家を維持していこうということを考えています。
その考えを喚起するために補助金や法の整備が着々と進んでいっているのも事実です。

新築住宅を建てるときは35年という長期でローンを組み、35年後も考えた設計をして家を建てると思いますが、家族が増えたり、子供が大きくなって家を出ていってしまったり、2世帯同居と家族形態は流動的なので、すべてのライフスタイルをカバーできる新築住宅を建てることは難しいと言えます。

であれば、欧米諸国のように現状のライフスタイルにあわせた住まいにリフォームをしたり、新築住宅を建てるのではなく、条件にあった中古住宅に移り住んで費用を生活にまわしたほうが良い暮らしができるのではないでしょうか。

また現状、日本では建築基準法という建物を建てる上での基準強度が改定されてきたことと、技術や品質の進化により家の品質も向上した結果、住宅の耐久性は大幅にアップし丈夫な建物となり中古住宅の品質は一昔前と比べると格段に上がっています。

根拠としては、日本住宅性能表示基準や評価方法基準など住宅の維持管理に関する法律が整備され中古住宅の品質の良し悪しを不動産業者が決めることが出来なくなったことと、瑕疵保証制度が見直され、床下や天井裏など目に見えない部分の老朽化や施工の不備に対して売り手側が責任を持つということになったことです。

このような制度も政府が消費型の家から循環型の家に切り替えたいという思いがあるため、これからもどんどん整備され、家の品質は上がっていくものと考えられます。

家をリフォームし、長く暮らしていける時代となってきました。
これからの時代は住まいをメンテナンス、リフォームすることで家をより長く維持していく時代です。皆さんも住まいのリフォームを考えてみてはいかがでしょうか。