マンションでは構造上、管理規約による制約がいくつかあることがあります。
マンションにお住まいでリフォームを行う場合は、管理規約に基づいたリフォームを行わなければならないため注意が必要です。
マンションの場合、所有者の区分所有権によって保護される占有部分である居住空間と、所有者全員で共有する共有部分があります。
マンションのリフォームにおいて出来ないことが存在する理由は、そこが共用部分にあたる工事であるからです。
マンションの共有部分と占有部分とは
占有部分は物件の外壁の内側に位置する居住空間および間仕切り壁、内装やキッチンなどの設備機器となります。一般的に専有部分は所有者個人としてのリフォームが可能となっています。
逆に共有部分はマンションの住民全員で共有しているため、勝手にリフォームをすることが出来ません。具体的にはエントランス、共有廊下、躯体そのものや、配水管、給水、ガス管などとなります。
しかし、マンションの管理規約によって専有部分であってもリフォームをすることができない場合などもあります。また同様に共有部分でも管理組合との話し合いによってリフォームが可能となるケースもあります。
マンションの間取りリフォーム
マンションのリフォームで多い間取りの変更は、建物の構造に影響しなければ問題なくリフォームすることができます。
変更の自由度はマンションの構造によって異なり、ラーメン構造で住まいの内部は全て占有部分になる場合は、部屋の間仕切りを全て取り払ってはずすことが出来るため、自由な間取り変更をすることができます。
柱や梁のない構造で一部がコンクリートの壁で出来ている間仕切りは構造体で共有部分にあたるため変更はできない可能性が高くなります。
またマンションのリフォームの場合、キッチン・トイレ・お風呂・洗面所などの水回りの移動は床下の配管をどこまで動かすことが出来るのかということが、とても重要となります。
給水管や給湯管は比較的移動しやすいですが、配水管は共有部分の排水スペースまでの距離がながくなると勾配がとれなくなるため水の流れが悪くなる可能性もあります。
このため水回りの移動には躯体のコンクリートの床の間に十分な空間が必要となります。
床下にどのくらいの空間があるのかは、建てられた年代やそれぞのマンションの構造によって違うため、移動可能かどうかはリフォームの専門家に相談し判断してもらうようにして下さい。
マンションのフローリングリフォーム
マンションの床をフローリングに張り替える場合に気をつけるポイントとなるのは、下の階への音の問題です。
既成のフローリングは防音性を満たしているものが多いですが、無垢のフローリングは管理規約に定められている防音基準を満たせないことも多く、2重床といわれる工事が必要になることもあるため、リフォームのコストが高くなってしまう場合もあります。
しかし上下階の床音をめぐるトラブルを防ぐために管理規約でリフォームの際の床材の性能レベルを定めていることが多いので、その基準を満たせば無垢のフローリングへの張り替えも可能です。
管理規約で定められているもの以外を使用し万が一問題が発生した場合やり直しをしなくてはいけなくなる場合もあるため管理規約で定められているものを利用することがマンションの床をリフォームするポイントとなります。
ユニットバスの追い焚き機能の追加
追い焚き機能を新たに導入するためには、共用部分の壁に追い焚き配管を通す穴をあけなければならない場合があるため管理組合に事前の確認をとっておく必要があります。
共用部分であっても、管理組合の許可がおりればリフォームを行うことができる場合もあります。
天井直付け照明の位置変更
天井のコンクリートに直接クロスを貼っている場合は照明器具が打ち込まれているため位置移動ができません。
しかり2重天井にリフォームすることで天井に空間が出来るため、その空間を利用して天井直付け照明の移動が可能となります。
窓の大きさや位置の変更
窓は共用部分にあたります。採光や換気の関係上、建築基準法上必要な窓の大きさが決められています。したがって窓の大きさや位置の変更はできません。
バルコニーのリフォーム
バルコニーは専用使用権が認められていますが、共用部分にあたるため、バルコニーの床、壁、天井に物を固定するようなリフォームを行うことは出来ません。
扉の交換
玄関扉の交換はできませんが、扉の内側は占有部分にあたるので塗り替えて玄関の雰囲気を変えるリフォームは可能となります。
防犯上の理由から玄関扉に穴をあけて鍵を増設したい場合は管理組合への確認が必要です。
このようにマンションリフォームは出来ることと、出来ないことが管理規約や構造の関係でありますが、一般の方はマンションがどのような構造なのか知ることは難しため、マンションの図面を管理組合に請求し、リフォームを行う前には必ずマンションの管理規約を確認し、リフォーム会社と相談することがマンションリフォームでは重要なポイントとなります。
